読者の皆さん、こんにちは。
株式会社ユナイテッドの藤田です。
こちらのブログでは、私が公認会計士及び経営者として経験した事例をもとに、日本の企業をもう一度輝かせるためのさまざまな考察や提案を配信していこうと考えています。
シリーズその①では、課題解決の入り口として、壁打ちコンサルについてご紹介しました。
シリーズその②では、「人材開発」を取り上げ、カウンセリングについてご紹介しました。
シリーズその③では、「公」と「私」について私の考えをご紹介しました。
そしてシリーズその④では、「PMI体験記」をお送りしたいと思います。
本日は第12話ですが、ポストPMIの第2弾として、「マーケティング導入 その①」について解説します。
マーケティング導入の必要性
もともとS社は、既存顧客からの継続注文と、同業他社からの紹介注文だけである程度の売上を確保していました。これはこの業種では珍しいことではなく、産業用モーターは定期点検をすることが一般的ですので、一定期間(例えば5年)が経過すれば同じ顧客から修理依頼が来ることが多いのです。発注側の顧客にとっても、前回の定期点検が品質的金額的に満足であれば、わざわざ修理業者を変更する必要もありません。
また、同業他社が年々減少する「枯れた業界」ですので、仮に変更したくてもなかなか代わりの業者は見つかりません。このような事情から、S社に限らず積極的な新規営業をしないモーター修理業はたくさんいます。
では、なぜこのような業種においてマーケティングを導入する必要があったのでしょうか?理由は大きく2つありますが、1つ目は現場の効率性です。モーター修理業は、一度に大量の台数を修理することはできず、工場の設備能力や作業員の人数により1日何台までという限界があります。例えば1日10台の修理ができる工場において、毎日10台ずつ修理注文が来れば、最も効率性がよ高くなります。ですが、ある日は0台、次の日は30台、その翌日はまた0台、のようにちぐはぐな注文になると、現場は混乱しますし、納期が合わない注文は受注を諦めることになります。実際、マーケティング導入前は、採算の低い案件を引き受けたり、工場の閑散期を埋める案件が見つからなかったりなど、現場の効率性が悪い事例がたくさんありました。なので、S社の側で受注案件管理を行って、工場にとって最も効率性の良い受注を目指す必要があったのです。
2つ目は、採算性の向上です。モーター修理業は残存者利得を享受できる業界で、需要は堅調ですが新規参入者もなく、高齢化により同業他社は徐々に減少していました。このような環境で、新規案件を探すことなく、既存案件と紹介案件のみに頼っていたのでは、積極的に価格交渉ができず、S社が持つ修理業の価値を十分に価格転嫁できないことになります。なので、S社が自ら新規案件を開拓して、複数の選択肢から採算性の良い案件を選別できるような環境を作る必要があると考えました。
マーケティング担当取締役の任命
問題取締役の処遇
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